ここは、山の中を流れる、ちいさな川。おひさまの光が きらきらと水に反射し、せせらぎの音が、
やさしく響いています。
やさしく響いています。
川の中には、ちいさな ちいさな
宇宙が広がっています。
石のすきま、ゆれる水草、ミジンコや
ヤゴ、ドジョウ、
そしてしずかな貝たち。
見えないほどの命たちが、
今日も いきいきと 生きています。
宇宙が広がっています。
石のすきま、ゆれる水草、ミジンコや
ヤゴ、ドジョウ、
そしてしずかな貝たち。
見えないほどの命たちが、
今日も いきいきと 生きています。
その中を、スイスイ泳ぐ
1匹のさかな。
にじいろに輝く、ちいさな魚です。
「ぼく、トト! 今日も元気に、
すいすい すい〜っ!」
1匹のさかな。
にじいろに輝く、ちいさな魚です。
「ぼく、トト! 今日も元気に、
すいすい すい〜っ!」
トトには、たくさんの仲間がいます。
カワムツ、ドジョウ、
ヨシノボリ、、、。
みんなちがう形、ちがう色。
せせらぎの中では、
仲良く暮らしています。
カワムツ、ドジョウ、
ヨシノボリ、、、。
みんなちがう形、ちがう色。
せせらぎの中では、
仲良く暮らしています。
「今日は、何をして遊ぼうか!」
ところが、ある日、、。
水のずっと奥から、黒くておおきな
影が近づいてきました。
水のずっと奥から、黒くておおきな
影が近づいてきました。
「オレは、ブラックバスの“オオクチ”! ちっちゃいの、
まとめて いただきだぁ!」
川はにごり、仲間たちは おびえて
にげまどいます。
まとめて いただきだぁ!」
川はにごり、仲間たちは おびえて
にげまどいます。
「このままだと食べられちゃう!
ぼくたち、小さな魚に、
なにができるんだろう、、。」
ぼくたち、小さな魚に、
なにができるんだろう、、。」
そのとき、水の底から
どっしりした声がしました。
「むやみに争うではない。 小さくても、知恵をつかえば
まもれるものがある。」
それは、このせせらぎの主 コイじぃ。長い年月を この川で生きてきた
とてもおおきな鯉です。
どっしりした声がしました。
「むやみに争うではない。 小さくても、知恵をつかえば
まもれるものがある。」
それは、このせせらぎの主 コイじぃ。長い年月を この川で生きてきた
とてもおおきな鯉です。
「だいじなのは、力ではない。 ちがいを生かし、みんなで考えることじゃ。」
トトたちは、水草をあつめ、石をあつめてつみあげます。協力して、
かくれる場所をつくりました。
かくれる場所をつくりました。
オオクチがまた来ましたが、どこにも だれも 見つけられません。
「おかしいな、、
どこにも いねぇぞ〜 」
「おかしいな、、
どこにも いねぇぞ〜 」
あきらめたオオクチは ふかい水の奥へ帰っていきました。
そして、せせらぎには 光が もどってきました。 にじいろのトトが
すいすいと 泳いでいきます。
「ぼくたちは小さいけれど、生き抜く力を持っていたんだ!」
ちいさな せせらぎの中で、 ちいさな いのちが 今日もいきいきと
すごしています。
すいすいと 泳いでいきます。
「ぼくたちは小さいけれど、生き抜く力を持っていたんだ!」
ちいさな せせらぎの中で、 ちいさな いのちが 今日もいきいきと
すごしています。
和名:ニッポンバラタナゴ
学名:Rhodeus ocellatus kurumeus
透き通るような淡い体色に、婚姻色が出たオスは鮮やかな赤や青のコントラストが美しく、観賞魚としても人気のある淡水魚です。主に湖やため池、流れのゆるやかな水路に生息し、貝類の体内に産卵するというユニークな生態を持っています。
一方で、近縁種のタイリクバラタナゴとの交雑や、環境悪化の影響で分布域が減少しています。すこし控えめなフォルムながら、しっかりバラの名に負けない華麗な色彩の日本らしい原産淡水魚です。大切に守っていきたいですね。
作者プロフィール
大学では生物環境を専攻し、水産振興センターの指導のもと小河川の魚類生態を1年を通じて研究しました。フィールド調査や採取記録、標本作成などを行い、形態学的同定を通じて魚類の特徴や分類にも触れました。ダイナミックな魚たちの生き様を垣間見て、その美しさと生命感を肌で感じた経験が原点になっています。
こうしたフィールドでの観察経験を活かし、正確さと分かりやすさを大切にした魚のイラスト・解説を制作しています。