正確性重視の単体魚類図版の制作例
― アユ ―
― 写真では伝えきれない形態情報を整理する制作設計 ―
 

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図鑑・展示用途に対応したアユの正確性重視の設計・制作例。
体高比や背鰭位置、下顎形状など「この魚である」と説明できる形態要素と制作設計を解説します。

アユ(Plecoglossus altivelis)の成魚側面図イラスト。体高比や背鰭位置、下顎の突出など形態的特徴を正確に描写。

Illustration © Yuki Mukoda

 
サケ目キュウリウオ科アユ亜科
和名: アユ
学名: Plecoglossus altivelis altivelis
 
 
 
 
 

1|「アユである」と判断できる要素

 
 
単体であっても、以下の形態的要素が明確であることが重要です。
 

① 体高と体長比

流線型でやや細身。過度に太くも、細くもならない比率設計。
 

② 下顎の微突出

アユ特有の下顎の前突形状を誇張せず明確に。
 
アユは付着藻類を削り取る食性を持ちます。

  • 下顎の縁辺部が発達
  • 口裂は比較的大きい
  • 削り取る構造に適応

ただし、顕著な突出ではありません。
 

③ 背鰭位置

体中央よりやや後方に位置する背鰭配置。
 

④ 側線の走行

緩やかに湾曲しながら尾部へ向かう側線。
 

⑤ 体色の階調

背部の青緑色から腹部の銀白色への自然なグラデーション。
胸鰭上部の黄色斑は、アユの成魚に見られる体側の特徴で、鰓蓋後縁から胸鰭基部上方にかけて現れる淡黄色の色斑であり、個体差や季節差はあるものの、成熟個体の識別補助となる視覚的形態要素の一つです。
 
これらが揃ってはじめて、「アユとして説明できる」図版になります。
 
 

2|強調した点と抑えた点

 
 

強調した点

  • 下顎形状
  • 体高比
  • 背鰭位置関係
  • 側線の流れ

 

あえて抑えた点

  • 婚姻色の過度な発色
  • 写真特有の光沢強調
  • 個体差による傷や歪み

 
 
写真をそのまま再現するのではなく、「標準的形態」として整理することを重視しています。
 
 

3|制作プロセス

 
 

 
 
① 文献・資料確認
② 標準体型の設定
③ ラフ段階での比率検証
④ 形態要素の再確認
⑤ 線画清書
⑥彩色、最終調整
 
制作工程の中心は「描くこと」ではなく「判断すること」にあります。
一点ずつ、情報を整理しながら制作しています。
 
 

4|想定される用途

 
 
本制作例は、単体魚種を「この魚である」と説明できる状態で提示する必要がある場面で活用されます。
 

・博物館・資料館の解説パネル

来館者に対して、形態的特徴を誤解なく伝えるための図版として。
 

・図鑑・解説冊子

体型比や鰭位置、斑紋などの特徴が読み取れる「標準個体」の提示に。
 

・学校教材・環境教育資料

写真では把握しづらい特徴を整理し、学習者が観察ポイントを理解しやすい形で提示。
 

・水族館・展示施設の種紹介

展示個体と照らし合わせながら、種の特徴を説明する補助図として。
 

・地域資源・広報資料

地域の魚を紹介するパンフレットや資料で、情報として成立する魚種図版として。
 
単体制作は、比較制作や複数点展開の基盤となる重要な工程です。
まず一種を正確に整理することが、後の識別整理へとつながります。
 
 

5|まとめ

 
 
アユの魚類図版の設計・制作において重要なのは、「似ていること」ではありません。
 
体高比、頭長、背鰭位置、下顎形状、鰭条数―
これらの形態情報が整理され、説明可能な状態で描かれていることが不可欠です。
 
写真は一瞬の個体を写します。
しかし図鑑や展示用途では、「標準的な形態」を示すことが求められます。
 
そのため本制作では、
観察 → 比率設定 → 形態判断 → 描写という工程を経て、
情報として成立する図版を一点ずつ構築しています。
 
単体制作は、比較制作や識別整理の基盤となる重要な工程です。
まず一種を正確に描けることが、信頼の前提になります。
 
図鑑・展示・教材・研究用途など、
「説明できる魚類図版」が必要な場面がありましたら、
用途と求められる正確性の水準をお知らせください。
 
制作目的に応じた設計をご提案いたします。
 
 

 
 
 

■ 標準価格

 
 

魚類図版の単体制作

 
44,000円(税込)/点
 
【制作内容】
・単体標準個体制作 (側面図)
・識別ポイント整理
・印刷用高解像度データ納品
・修正2回まで
 
※ 魚種や用途により調整します。
 
本制作例では、標準的な成魚個体を基準とし、形態情報を整理した上で描写しています。

 
 
 

 

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作者プロフィール

大学では生物環境を専攻し、水産振興センターの指導のもと、小河川に生息する魚類の生態を一年間にわたり調査しました。
フィールド調査、採集記録、標本作成などの経験を通して、形態学的な視点から魚類の特徴や分類への理解を深めました。
実際のフィールドで観察した魚たちのダイナミックな姿や生命感に触れた経験が、現在の魚類図版制作の原点になっています。
また過去には、形成外科分野の研究論文における施術解説図(医学図版:シェーマ)の制作を担当し、図版が使用された論文は形成外科分野の
⚪︎PRS Global Open
⚪︎JPRAS Open
⚪︎European Journal of Plastic Surgery
などの国際学術誌に掲載されています。

研究内容を正確に伝えるための図版設計や、専門家との共同制作の経験を通じて、科学図版に求められる精度と情報整理の重要性を学びました。

現在は、こうした経験を基に

⚪︎魚類の形態的特徴
⚪︎種の識別ポイント
⚪︎生態的背景

を踏まえながら、正確さと分かりやすさを両立した魚類図版の設計・制作を行っています。

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