展示・教材用の魚イラストで「正確さ」が必要になるのはどんなときか
― 写真では足りない場面と、イラストに求められる役割 ―

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キビレチヌ:正確性を重視し、形態的特徴が伝わるよう整理した魚イラストの例

正確性を重視し、形態的特徴が伝わるよう整理した魚イラストの例

 
 
展示や教材で魚を扱う際、
「写真があるのだから、それで十分では?」
と感じることは自然です。
しかし、実際の制作現場では
写真だけでは説明が成立しない場面が少なくありません。
本記事では、
魚の専門家ではない実務担当者の立場から、
どのようなときに「正確さを意識した魚イラスト」が必要になるのかを整理します。
 
 
 

写真が使えないわけではないが、説明には不足することがある

 

ヤマメ:写真は情報量が多い一方、説明に必要な特徴が読み取りにくい場合があります。

写真は情報量が多い一方、説明に必要な特徴が読み取りにくい場合があります。

 
 
写真は非常に有効な資料です。
実物をそのまま伝えられるという点では、
イラストよりも情報量が多い場合もあります。
ただし、展示や教材では
「情報が多すぎること」が逆に問題になることがあります。
 

  • 背景や水質の影響で形が分かりにくい

  • 見せたい部位が陰になっている

  • 個体差が強く、基準が分からない

 
こうした場合、
見る側が何を読み取ればよいのか分からない
という状態が生まれます。
 
 
 

展示・教材で求められるのは「誤解を生まないこと」

 
展示や教材の目的は、
魚を「美しく見せること」ではなく、
正しく理解してもらうことです。
そのため重要になるのは、
 

  • どこを見ればよいのか

  • 何が特徴なのか

  • 他の魚とどう違うのか

 
が、一目で分かることです。
このときイラストには、
写真の代替ではなく、
情報を整理して伝える役割が求められます。
 
 
 

「正確さ」とは、細密さや写実性のことではない

 

ミヤコタナゴ:説明に必要な特徴だけを整理し、判断を助けることを目的とした表現例。

 
 
展示や教材における「正確さ」は、
必ずしも細密でリアルな描写を意味しません。
重要なのは、
 

  • 必要な特徴が省略されていないか

  • 誤解を招く表現になっていないか

  • 判断に不要な情報が強調されていないか

 
といった点です。
つまり、
何を描き、何を描かないかを判断していること
そのものが正確さにつながります。
 
 
 

正確さが必要になる具体的なケース

 
以下のような場面では、
正確性を意識したイラストが特に有効です。
 

  • 近縁種が多く、見分けが難しい魚を扱うとき

  • 子ども向け教材で、誤解を避けたいとき

  • 展示パネルで短時間に理解してもらう必要があるとき

  • 写真では特徴が分かりにくいと判断されたとき

 
これらはすべて、
専門知識の有無に関わらず判断が求められる場面です。
 
 
 

専門知識がなくても進められる制作の考え方

 
魚の専門家でなくても、
正確さを意識したイラスト制作は可能です。
重要なのは、
 

  • 用途(展示・教材・冊子など)

  • 伝えたい内容

  • 誤解を避けたいポイント

 
を共有し、
制作側が判断を整理することです。
その判断を含めて設計されたイラストは、
見る人にとっても、
制作を担当する側にとっても、
安心して使える資料になります。
 
 
 

まとめ

 
展示や教材で魚を扱う際、
イラストに求められるのは
「きれいに描かれていること」ではありません。
誤解を生まず、説明として成立すること。
そのために、
正確さを意識したイラスト制作が必要になる場面があります。
もし
「写真で足りるのか判断がつかない」
「どこまで厳密にすべきか分からない」
と感じた場合は、
制作側でその整理を行うという選択肢もあります。
 
 
 

 
 
 

 
 
 

 

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作者プロフィール

大学では生物環境を専攻し、水産振興センターの指導のもと小河川の魚類生態を1年を通じて研究しました。フィールド調査や採取記録、標本作成などを行い、形態学的同定を通じて魚類の特徴や分類にも触れました。ダイナミックな魚たちの生き様を垣間見て、その美しさと生命感を肌で感じた経験が原点になっています。

こうしたフィールドでの観察経験を活かし、正確さと分かりやすさを大切にした魚のイラスト・解説を制作しています。

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