DCP-002 ヤイマヒラヨシノボリ|診断形質を可視化する魚類図版

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ヤイマヒラヨシノボリ(Rhinogobius yaima)は、八重山諸島の石垣島・西表島から知られるヨシノボリ類です。
 
ここでは、原記載論文に基づき、ヤイマヒラヨシノボリ♂の形態的特徴や識別に重要な診断形質、計数形質、腹鰭形態、分布情報を一枚の Diagnostic Character Plate(DCP) に整理しました。
魚の姿を描くだけでなく、「なぜこの魚をヤイマヒラヨシノボリと識別できるのか」という根拠を、図版と分類学的情報から読み取れるように構成しています。

 
 

ヤイマヒラヨシノボリ♂のDiagnostic Character Plate。全身図と診断形質、腹鰭形態、計数形質、石垣島・西表島の分布を示した魚類図版。


Diagnostic Character Plate(形質診断図版) No.002
ヤイマヒラヨシノボリ Rhinogobius yaima ♂ の診断形質図版。
Illustration © Yuki Mukoda / Fish Illustration Archive

A|第1背鰭
雄では第1背鰭が高く発達するが、折りたたんでも第2背鰭に達しない。ケンムンヒラヨシノボリは第2背鰭に達するため、成熟した雄の形質としては明瞭な判別ポイントとなる。
 
B|頭部の色彩・斑紋
側頭部から後方へ伸びる2本の橙色線が、第2背鰭起部下方部まで達する。
 
C|尾鰭の斑紋
尾鰭には4横点列の橙赤色の斑紋が認められる。斑紋の配列は本種の色彩的特徴の一つだが、個々の斑点や列が必ずしも明瞭に分離して見えるとは限らない。
 
D|腹鰭第5軟条の分枝
腹鰭第5軟条は通常5分枝。近縁のケンムンヒラヨシノボリでは通常4分枝であり、両種を識別するうえで重要な計数形質となる。

 
 

分類学的背景

ヤイマヒラヨシノボリは、2020年に新種として記載された日本のヨシノボリ類です。
Suzuki・Oseko・Kimura・Shibukawa(2020)により独立種として記載され、縦列鱗数、腹鰭第5軟条の分枝数、体色や各鰭の斑紋など、複数の診断形質によって識別されます。
本図版では、原記載論文に基づき、ヤイマヒラヨシノボリの分類・識別上重要となる特徴を図版内に整理しています。

図版の内容

本DCPでは、ヤイマヒラヨシノボリを識別するために重要な情報を、一枚の図版へ集約しています。
掲載している主な情報は次のとおりです。

  • 全身の標準化した魚類図版
  • 診断形質(Diagnostic Characters)
  • 腹鰭形態
  • 計数形質(Meristics)
  • 国内分布図
  • 学名・分類体系
  • 情報の出典

計数形質として、第1背鰭6棘、第2背鰭1棘9軟条、臀鰭1棘8軟条、胸鰭19–21軟条、縦列鱗数40–43を示しています。また、腹鰭第5軟条は通常5分枝となることから、その形態を拡大図として併記しています。
国内では八重山諸島の石垣島・西表島から知られ、本図版では両島を分布域として示しています。
文章だけでは把握しにくい診断形質を視覚的に整理することで、各形質の位置関係と種の特徴を効率よく理解できる構成としています。

制作上のポイント

Fish Illustration Archiveでは、魚体を正確に描写するだけでなく、「分類学的に何が重要な特徴なのか」を図版上で明確に示すことを重視しています。
本図版では、原記載論文をもとに診断形質を選定し、識別に重要な部位へA〜Dの注記を配置しました。また、計数形質、腹鰭形態、分布情報を併せて掲載することで、図版単体でも種の特徴を総合的に把握できる構成としています。
特に近縁のケンムンヒラヨシノボリ Rhinogobius yonezawai とは形態的に類似しますが、ヤイマヒラヨシノボリでは縦列鱗数40–43、腹鰭第5軟条が通常5分枝となる点などが識別上重要です。ケンムンヒラヨシノボリではそれぞれ35–39、通常4分枝であり、DCP-001とDCP-002を同一フォーマットで整理することで、この違いを比較できるようにしています。
また分布についても、ケンムンヒラヨシノボリの確認分布とは異なり、ヤイマヒラヨシノボリは石垣島・西表島から知られます。共通形式の分布図を用いることで、近縁種間の地理的な違いも視覚的に比較できるよう設計しています。

まとめ

ヤイマヒラヨシノボリ Diagnostic Character Plateは、種の診断形質を体系的に整理した魚類図版です。
魚体の正確な描写に加え、分類学的特徴、計数形質、腹鰭形態、分布情報を一枚の図版へ統合することで、研究・教育・標本整理・展示解説など、さまざまな場面で活用できる情報媒体として制作しました。
また、DCP-001 ケンムンヒラヨシノボリと共通の情報設計を採用することで、単独の種を示すだけでなく、近縁種間の診断形質を比較できる図版シリーズとしての役割も持たせています。
Fish Illustration Archiveでは、今後もさまざまな魚種のDiagnostic Character Plateを共通形式で制作・公開し、「その魚である根拠」を形態情報とともに可視化する魚類図版アーカイブの構築を進めていきます。

 
 

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制作物の用途や伝えたい内容を確認し、必要な魚類図版の構成から検討します。

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