Fish Illustration System
魚類図版を、体系として設計する。
Fish Illustration Archive では、魚類図版を一枚ごとの作品としてではなく、役割を持った情報資産として捉えています。
魚を正確に理解するためには、一種類の図版だけでは十分ではありません。
全体の形態を記録する図版、特徴を整理する図版、近縁種との違いを比較する図版など、それぞれ異なる目的があります。
そのため本サイトでは、用途に応じた魚類図版を体系的に整理し、Fish Illustration System として設計しています。
Fig. Fish Illustration Archiveにおける魚類図版体系。
基礎図版を基盤とし、Diagnostic Character Plate(DCP)を品質基準として、比較図版・識別図版・外部形態図版・生態図版へ展開する情報設計図版の体系を示しています。
Ⅰ. Foundation Plates
基礎図版
すべての図版の出発点となるのが Foundation Plate です。
魚体全体の形態や色彩を、統一した条件で記録することを目的としています。光源、姿勢、縮尺などを統一することで、種を超えた比較や再利用が可能な基盤となります。
Foundation Plate は、魚の姿を正確に記録する「標準図版」として位置付けています。
アカメバル
学名:Sebastes inermis
アカメバル(Sebastes inermis)は、日本沿岸に広く分布するメバル属の一種であり、形態的特徴と識別要素の整理が重要な魚種です。本図版では、文献に基づき、識別に必要な要素を整理して構成しています。
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クロメバル
学名:Sebastes ventricosus
クロメバル(Sebastes ventricosus)は、メバル属の中でも暗色の体色と外洋寄りの生息環境を特徴とする種です。本図版では文献に基づく形態情報を整理し、識別に必要な要素を可視化した基準図として構成しています。
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シロメバル
学名:Sebastes cheni
シロメバル(Sebastes cheni)は、メバル属の中でも淡褐色の体色と内湾性の生息環境を特徴とする種です。本図版では文献に基づく形態情報を整理し、識別に必要な要素を可視化した基準図として構成しています。
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Ⅱ. Information Design Plates
情報設計図版
基礎図版で記録した形態情報を、目的に応じて整理・再構成した図版です。
情報設計図版では、「何を伝えるべきか」を明確にし、必要な情報だけを抽出して可視化します。
その代表例が、Diagnostic Character Plate(DCP)です。
① Diagnostic Character Plate (DCP)
形質診断図版
DCP は、種を識別するための診断形質を一枚に整理した図版です。
分類学で重要となる特徴を視覚的にまとめることで、専門家だけでなく教育や普及の場でも活用しやすい情報を提供します。
Fish Illustration Archive における品質基準を象徴する図版であり、ブランドを代表するフォーマットでもあります。
Diagnostic Character Plate(形質診断図版) No.001
ケンムンヒラヨシノボリ Rhinogobius yonezawai ♂ の診断形質図版。
Illustration © Yuki Mukoda / Fish Illustration Archive
② Comparison Plates
比較図版
魚を理解するためには、「違い」を知ることも重要です。
比較図版では、近縁種や類似種を同じ条件で並べ、体形や色彩、形態的特徴の違いを一目で把握できるように設計しています。
同一スケールや統一した描画条件を採用することで、比較そのものが情報となる図版を目指しています。
メバル科5種の比較図版
種間差異と識別ポイントの整理
mebaru-5species-comparison
メバル科5種を同一スケールで比較し、体高や体色、形態差異を整理した魚類図版。識別や研究、展示用途に対応した比較図版です。
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タナゴ属4種の比較図版
種間差異と識別ポイントの整理
tanago-4species-comparison
タナゴ属は小型で形態差異が繊細なため、種間の違いを正確に把握するには比較による整理が不可欠です。本図版では代表的な4種を同一スケールで配置し、識別に必要な形態的特徴を視覚的に整理しています。
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カワムツとヌマムツの比較図版
種間差異と識別ポイントの整理
comparison-kawamutsu-numamutsu
カワムツとヌマムツの比較魚類図版。旧カワムツA・カワムツBから現在の分類への変遷を踏まえ、体形、頭部形状、生息環境などの違いを整理した識別用比較図版です。
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Information as an Archive
図版を、情報資産として残す。
Fish Illustration Archive が目指しているのは、一枚の図版を公開して終わることではありません。
図版を継続的に蓄積し、整理し、更新しながら、将来にわたって活用できる情報資産として育てていくことです。
分類体系や学術的知見が更新された場合には、それに応じて図版や解説も見直します。
こうした継続的な更新によって、アーカイブとしての価値を高めていきます。
A System That Grows
発展し続ける体系
Fish Illustration System は、完成された固定的な仕組みではありません。
新たな図版形式や表現方法、研究成果を取り入れながら、今後も発展を続ける設計思想です。
魚類図版を描くことだけではなく、その情報をどのように整理し、伝え、未来へ残すか。
それが Fish Illustration Archive の考える「魚類図版体系」です。
制作・利用をご検討の方へ
魚類図版は、
- 学術研究
- 博物館展示
- 水族館展示
- 教育教材
- 図鑑・出版
- 行政資料
など、さまざまな用途に合わせて制作できます。
ご相談・お見積りはお気軽にお問い合わせください。
作者プロフィール
大学では生物環境を専攻し、水産振興センターの指導のもと、小河川に生息する魚類の生態を一年間にわたり調査しました。
また、フィールド調査、採集記録、標本作成などの経験を通して、形態学的な視点から魚類の特徴や分類への理解を深めてきました。 実際のフィールドで観察した魚たちのダイナミックな姿や生命感に触れた経験が、現在の魚類図版制作の原点になっています。
また過去には、形成外科分野の研究論文における施術解説図(医学図版:シェーマ)の制作を担当し、図版が使用された論文は形成外科分野の
⚪︎PRS Global Open
⚪︎JPRAS Open
⚪︎European Journal of Plastic Surgery
などの国際学術誌に掲載されています。
研究内容を正確に伝えるための図版設計や、専門家との共同制作の経験を通じて、科学図版に求められる精度と情報整理の重要性を学びました。
現在は、こうした経験を基に
⚪︎魚類の形態的特徴
⚪︎種の識別ポイント
⚪︎生態的背景
を踏まえながら、正確さと分かりやすさを両立した魚類図版の設計・制作を行っています。