本図版は、ケンムンヒラヨシノボリ(Rhinogobius yonezawai)を対象としたDiagnostic Character Plate(DCP)です。
DCPは、種を特徴づける診断形質を一枚の図版に体系的に整理することを目的とした魚類図版フォーマットです。本図版では、魚体の形態だけでなく、識別上重要となる形質、計数形質、分布情報を統合し、分類学的な情報を視覚的に理解できるよう構成しています。
Diagnostic Character Plate(形質診断図版) No.001
ケンムンヒラヨシノボリ Rhinogobius yonezawai ♂ の診断形質図版。
Illustration © Yuki Mukoda / Fish Illustration Archive
分類学的背景
ケンムンヒラヨシノボリは、2020年に新種として記載された日本固有のヨシノボリ類です。
従来は他種と混同されることもありましたが、Suzuki・渋川・藍澤(2020)により独立種として記載され、胸鰭軟条数や腹鰭の分枝軟条数、体色、各鰭の模様など複数の診断形質によって識別されます。
本図版では、原記載論文に基づき、分類学上重要となる特徴を図版内に整理しています。
図版の内容
本DCPでは、ケンムンヒラヨシノボリを識別するために重要な情報を、一枚の図版へ集約しています。
掲載している主な情報は次のとおりです。
- 全身の標準化した魚類図版
- 診断形質(Diagnostic Characters)
- 腹鰭形態
- 計数形質(Meristics)
- 国内分布図
- 学名・分類体系
- 情報の出典
文章だけでは把握しにくい診断形質を、図版として視覚的に整理することで、分類学的特徴を効率よく理解できます。
制作上のポイント
Fish Illustration Archiveでは、魚体を正確に描写するだけでなく、「分類学的に何が重要な特徴なのか」を図版上で明確に示すことを重視しています。
本図版では、原記載論文をもとに診断形質を選定し、識別に重要な部位へ注記を配置しました。また、計数形質や分布情報を併せて掲載することで、図版単体でも種の特徴を総合的に把握できる構成としています。
診断形質を標準化したレイアウトで整理することにより、今後制作する他種のDCPとの比較にも活用できるよう設計しています。
まとめ
ケンムンヒラヨシノボリ Diagnostic Character Plateは、種の診断形質を体系的に整理した魚類図版です。
魚体の正確な描写に加え、分類学的特徴、計数形質、分布情報を一枚の図版へ統合することで、研究・教育・標本整理・展示解説など、さまざまな場面で活用できる情報媒体として制作しました。
Fish Illustration Archiveでは、本図版を基準として、今後もさまざまな魚種のDiagnostic Character Plateを制作・公開し、魚類の分類学的理解を支える図版アーカイブの構築を目指しています。
魚イラスト、魚類図版を使う立場の方へ
魚の専門家でなくとも、展示・教材・商用など正確さが求められる場面があります。 当サイトでは、用途と目的に合わせた必要な表現レベルや判断のポイントも踏まえた上で、魚類図版を設計・制作しています。
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作者プロフィール
大学では生物環境を専攻し、水産振興センターの指導のもと、小河川に生息する魚類の生態を一年間にわたり調査しました。
また、フィールド調査、採集記録、標本作成などの経験を通して、形態学的な視点から魚類の特徴や分類への理解を深めてきました。 実際のフィールドで観察した魚たちのダイナミックな姿や生命感に触れた経験が、現在の魚類図版制作の原点になっています。
また過去には、形成外科分野の研究論文における施術解説図(医学図版:シェーマ)の制作を担当し、図版が使用された論文は形成外科分野の
⚪︎PRS Global Open
⚪︎JPRAS Open
⚪︎European Journal of Plastic Surgery
などの国際学術誌に掲載されています。
研究内容を正確に伝えるための図版設計や、専門家との共同制作の経験を通じて、科学図版に求められる精度と情報整理の重要性を学びました。
現在は、こうした経験を基に
⚪︎魚類の形態的特徴
⚪︎種の識別ポイント
⚪︎生態的背景
を踏まえながら、正確さと分かりやすさを両立した魚類図版の設計・制作を行っています。